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医師免許を持たない者から手術を受けました

僕は医師免許を持たない者から手術を受けました。
といっても30年以上も前のことで医師免許を持たない者とは獣医師だった父です。
手術の内容は麻酔を打っての縫合手術です。

幼かったので記憶は曖昧ですが4歳頃だったと思います。
当時住んでいた田舎は田畑や崖の多いところで整備されていないところが多く、幼児にとっては危険だらけの場所でした。
僕は幅が1メートルもないような小道を歩いていて足を滑らせ2メートル近い段差を滑り落ちてしまいました。
滑り落ちる際に壁側に突き出ていた岩で右足の太もも(前側)を10センチほどパックリ切ったのです。
膝からは血が流れ出て僕はパニックを起こして泣きました。
傷の大きさからもの凄い痛みがあってもよさそうなものですがエンドルフィンが大量に分泌されたためか痛みはあまり感じてなかったと思います。
一緒にいた兄におんぶされて家まで帰りました。

普通ならそこから病院に運ばれ手術という流れなのでしょうが当時の我が家は金欠状態だったため病院へは連れていかれませんでした。
父が獣医師組合を抜けて独立してまもない頃だったので仕事がまだ軌道に乗らず家計は火の車といった時期だったようです。
そこで父はあろうことか医療費を削るために動物用の手術道具で縫合手術を行うという決断をしてしまったのです。

病院や医師のいない状況で緊急を要するなら仕方なかったかもしれませんがそうではないので明らかに医師法に違反しています。
父は普段はとても温厚なのですが急に突拍子もない決断をすることが多々ありました。
そしてやはりというか動物と人間とでは麻酔の量の基準も違うでしょうから当然のように問題が起きました。

麻酔を打たれたときのことは今でも覚えています。どの部屋でどの体の向きで打たれたかまで覚えています。
それから僕は気を失いました。そして目が覚めたのはベッドの上・・・・ではなかったのです。
家の中で車のオモチャで遊んでいるときに僕の意識は戻ったのです。妙な文章ですが本当にそうだったのです。
今思うと本当に不思議な感覚でした。
太ももの傷は全く痛みがありません。縫合して完治していて違和感も全くありませんでした。つまり麻酔を打ってから縫合手術を行い傷が塞がり抜糸をして痛みも違和感もなくなるくらい完治するまで僕は僕ではなかったのです。
僕ではない僕が僕として動いていてご飯も食べて車のオモチャで遊んだりしていたのです。
意識が戻ったときに部屋には母がいました。母に怪我のことをききましたが「もう治ったよ」と言われただけで幼い僕は納得していました。
ですがやはり歳をとるにつれ記憶のない空白の時間のことが気になるようになってきました。
麻酔の量を誤ったために脳に問題が生じたのか、またはこのブログでよく出てくる追い出さ霊状態だったのか、それとも自らの危機的状況から精神的に守るためにもう一人の人格を作りだすという多重人格説にあてはまる状態だったのか。いろいろ考えましたが手術を行った当の父はもうこの世にいないので当時のことを詳しく聞くことはできません。
母に聞いても30年以上前のことなので「覚えてない」の一点張りです。
結局謎は解明されないまま右太ももに長さ10センチ幅1.5センチの縫い傷が残っただけです。

小学校高学年のときもアゴをパックリ切って2針だけ縫ったのですがそのときは迷わず病院へ連れていかれました。
太ももの怪我からすれば大したことなかったのですが迷わず病院へ連れていかれたところを考えるとやはり父の中であの太ももの手術は問題があったと認めていたということなのだと今ならわかります^^;

風邪をひいたときも動物用の薬を父に打たれたこともあります。成分は同じだと言っていましたがやはり医師法を無視していますし気持ちのよいものではありませんね。

あのまま意識が戻らなかったらと思うとゾッとしますがなんとか無事だったことですし手術跡を父の残した形見と思い、我が子たちとの付き合い方を深く考えていきたいと思います。

でもやっぱり医師免許を持たない者からの手術は受けたくないですね^^;

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