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太郎と次郎と花子 2 ~転機~

時間は夜の11時55分。
花子はすでに念じはじめていた。

「余裕をもって5分前から念じとけば大丈夫ね。過去に戻りたい戻りたい・・・」

さて次郎はというと。

「過去に戻れたら最高だなあ!いろいろ計画を立てとかなくちゃ!」

1時間前から妙なテンションでスタンバっている。

そして時計の針は12時ちょうどをさそうとしている。
必死に念じる次郎と花子。

12時になった瞬間、次郎と花子は真っ白な光に包まれた。
意識が薄らいでいく・・・

そして徐々に意識が戻ってきた。

「えー、みなさんも無事成人の日を迎えることが出来たことを心より祝福いたします」

見覚えのあるオジサンがマイクで話している。

「あれ?成人式会場??」

次郎はキョロキョロまわりを見わたしてみた。
同じく太郎と花子もキョロキョロしている。

どうやら5年前に戻ったようだ。

オジサンの長い話が終わり解散となり三人は急いで駆け寄った。

「すごいよ太郎ちゃん!本当に過去に戻れたんだね!私、夢を見てるんじゃないよね?」

「うん、うまくいったみたいだ。もっと過去でも良かったけど、まあいいか」

「僕は5年前でも満足だよ!人生やり直すぞー!」

「どうせなら誰が一番満足できる人生を歩めるか勝負しようぜ!」

太郎が提案した。

「うん、賛成!!」

そして三人は再出発を誓い別れた。

別れ際、太郎が次郎を呼び止めた。

「実はな俺、花子が好きなんだ。俺、絶対出世して花子を振り向かせたいんだ」

「そっかぁ、太郎なら大丈夫!うまくいくよ絶対!」

「サンキュ!お互い頑張ろうな!」

それから一年の歳月が流れた。

一番出世したのは次郎だった。
次郎は過去に戻る前に綿密に計画を練っていたのだ。

本来ならば未来でヒットしているはずの歌謡曲を自分の作詞作曲だと言って
レコード会社に売り込むという計画だった。
もちろん計画は思惑通りに進み次郎はミリオンヒットを連発する
若き天才プロデューサーという地位にまでのぼりつめていた。

「したたかな奴だな・・・」

過去に戻ったものの特に変化のない毎日を送っていた太郎はつぶやいた。

そして太郎にとってショックな事が起きた。

次郎と花子が電撃入籍したのだ。
花子の熱烈なアプローチに次郎が押されてしまったというのが本当のところだ。

太郎はショックだったが暖かく二人を祝福した。

「次郎、お前が一番満足のいく人生を歩んでいる。勝負はお前の勝ちだ」

「太郎、ごめんね。太郎が花子のこと好きなの知ってたのに・・・」

「いいんだ、花子がお前を選んだんだからな」

そして更に一年の歳月が流れた。

場所は次郎と花子の寝室。

そこには包丁を握った花子と、血まみれの太郎と次郎がいた・・・・

(つづく)

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