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【心の旅(フィクション)】 滅ぼすべきは

長男を迎えに保育園へ行くと、他の園児たちが喧嘩をしていました。

A君:「なにするんだよ!お前なんかバカだ!」

B君:「バカって言った人がバカなんだよ!」

B君がA君を殴るとA君は泣いてしまいました。
それをC君とD君が見ていました。

C君:「A君を泣かせるなんてB君は悪い人だね!」

D君:「そうだね僕たちは正義の味方だからB君をやっつけよう!」

C君とD君は二人がかりでB君を殴り、B君を泣かせてしまいました。

C君:「ざまーみろ!悪い奴はこうなるんだよ!」

それをE君が見ていました。

E君:「二人がかりでいじめるなんて・・・あんな悪い奴らは、こらしめてやる!」

E君は非道な二人に罰を与えようと、F君とG君を呼びにいきました。

それを見ていた僕はとても嫌な気持ちになりました。
終わらない・・・なんだこの世界・・。でもこの世界を僕はよく知っている・・・。

「よく気付いたね」

背後から聞き覚えのある声がしました。あっ、フクロウおばさんだ。

「これは大人の世界と同じだよ。正義感を持って悪人を滅ぼしたとしても、また別の人から見たら今度は自分が悪人なのさ。滅ぼすべきは悪であって悪人ではないんだよ」

「本当にそうですね・・・わかっていても難しいけど、それが出来たら戦争なんてなくなりますね。フクロウおばさん、ありが・・・」

ありがとうを言う前にフクロウおばさんは目の前から消えていました。

子供番組でも正義の味方は悪人をせっせと退治しています。僕も子供の頃はヒーローものが大好きでした。ですがやはり子供なりに娯楽として楽しく見ていたレベルです。どこかで意識のズレてしまった子供が「悪人は倒さなければならない」「悪い奴は死んでもいい」などと洗脳に近い影響を受けてしまって狂気に満ちた犯罪を犯すケースがあるのもまた事実だと思います。ですが僕は子供に夢を与えるヒーロー番組は好きです。うちの長男も夢中です。親が上手に、滅ぼすべきは悪であって悪人ではないということを伝えていけたらいいですね。

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